式内社 備後国葦田郡 「賀武奈備神社(かむなび)」
府中市出口町
 府中市出口町三室山の麓に鎮座する。
現在の社名は「甘南備神社(カンナビ)」と書く。
由緒であるが、創建は元明天皇和銅元年(708年)とされる古社だ。
備後国に悪疫が流行ったとき、国司・佐伯宿禰麿が出雲美保の大神(事代主神)の御分霊を三室山に奉斎し祈祷したら悪疫は退散した。
そこで御神殿を造営し、父神大国主神と少彦名神をも合わせ祀ったとある。
神階は元慶二年(878年)11月、正五位上に昇格した。
出典は続日本紀などにあり、今まで訪ねた式内社の中で非常に確かな神社だと思う。
相殿に祀られている龍王社は、藤尾の龍王社から勧請したものだ。
毛利元就や歴代福山藩主から社地や社殿造営などの手厚い寄付を受けたようだ。

 境内には稲荷神社を始め数々の末社が祀られている。
随神門内に収められている木彫りの狛犬や、手水社天井に置かれた龍神の彫刻など見所一杯の神社である。
明治5年に郷社、昭和3年には県社、昭和21年には県内五社目となる吉備津神社や沼名前神社と同じ国幣社への昇格が内定していたが、大戦の影響か決定しなかったようである。

 現在の本殿は宝永三年(1706年)に檜皮葺朱塗で福山城主松平下総守の手により建てられたものだが、残念ながら屋根だけは昭和53年に銅板葺きに改修された。
神奈備とは神が宿る場所とされて各地にある。それは三室山とか三諸山がセットになっているようだ。
ここの三室山にも古来祭祀遺跡の磐座が沢山あり、現在はそれら遺跡を含め公園として整備され、府中市の観光地に指定されている。
石鳥居
拝殿
本殿

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