吉備津神社(きびつ)
神石郡神石高原町油木
吉備津神社(きびつ) 神石郡神石高原町油木に鎮座する。

亀鶴山八幡神社とともに広大な社叢の中に鎮座している。
祭神は神社名の通り吉備津彦命だ。いつの時代に創祀されたのかは不明。
しかし、永徳2年 (1382)に神宮寺の記録が見えると伝う。
その後は奴可郡川西村猿尾山法恩寺が奉祀し、享禄5年(1532)の本殿再建棟札には「大日本国備後国神石郡 豊松油木両村一宮聖霊御宝殿奉造立」と記されている。
この時の大檀那は平朝臣貴信で、施主は神宮寺会崇禅師である。
貴信とは誰だろうか。

三間社入母屋造本殿の前方一間は吹き放ちの外陣となる。
吹き放ちの外陣を持つ社殿は福山市内では珍しいが、この地方から県北芸備地方は標準装備の ようである。
「広島県の近世社寺建築」には芸備造と紹介されている。
向拝は軒唐破風だ。外陣は一間通りとなり角柱。
内陣は正規の円柱を使う。
外陣は水引虹 梁に木鼻を出し、台輪を乗せる。
柱間には5個の出組を並べて丸桁を受ける。
内陣は頭貫に台輪を乗せ、さらに長押を打ち固定する。
柱上は一手先の出組を置 き、柱間は詰組となる。軒は二軒繁垂木で、高欄付きの縁は四方を回る。
外陣の天井は格天井である。
向拝柱上に置かれた連三斗と木鼻の象鼻、手挟に施された彫刻は見応えがある。
軒唐破風の棟には「吉」の紋が付く。
三好(三吉)氏の紋と同じだが、何か関係があるのだろうか。
吉備津神社は「吉」紋は使わない。
石鳥居
狛犬:嘉永5年(1852)8月吉祥日
随神門と拝殿
本殿

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