白鬚神社(しらひげ) |
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福山市新市町金丸 | |
白鬚神社(しらひげ) 福山市新市町金丸に鎮座する。
この神社に祀られている祭神は猿田彦命。 サルタヒコは記紀神話の天孫降臨の場面で、アマテラスの孫ホノニニギの道案内をしている。 そのことにより道祖神として路傍に祀られるようになった。 全国で見られる白鬚神社であるが、中でも有名なのは滋賀県高島町の白鬚神社で、やはりサルタヒコを祀る。 安芸の宮島厳島神社と同様に海中に朱塗りの鳥居が立ち、社記によると第十一代垂仁天皇二十五年、皇女倭姫命杜殿を御再建、第四十代天武天皇白鳳二年(674)勅旨を以て比良明神の号を賜るとある古社だ。 慶長8年(1603)豊臣秀頼により社殿が整備され、その建造物は現存しており国重文に指定されている。 ここから全国に分社されていった。 比良明神と称されたのは背後に比良連峰があるためだが、いつの頃からか白髭明神と称するようになった。 外国から来た神、主として朝鮮・中国から帰化した人たちがもたらした神を蕃神(トナリノクニノカミ)と称する。 「日本書紀」欽明紀に「方今改めて蕃神を拝す、恐らくは国神の怒を致さん」とある蕃神は、仏教のことを指しているが、吉原道正氏は「江戸時代祭祀風俗の研究」の中で「蕃神、白鬚明神」とし、「高麗民俗の祖神として白鬚明神を祀る」と記す。 しかし、金達寿(キム タルス)氏は著書「古代朝鮮と日本文化」の中で、「高麗王はその髪白かりき、故に高麗明神を白鬚明神とたたえ祀る」これは高麗神社縁起で通説になっているが、白鬚神社は高句麗系ではなく新羅系渡来人を祀ったものだと記す。 滋賀県高島町の白鬚神社を見ても南朝鮮の古墳で発見される出土物が、近くの鴨稲荷山古墳からも発掘されていることを根拠に、白鬚神社は新羅系渡来人がサルタヒコを祀ったもので、後に退転し、高麗神社が高麗王若光とともに併祭した神社だとしている。 さて、金丸の白鬚神社も渡来系なのであろうか。 広島県神社誌には、縁起については詳らかではないが寛永年間(1624−1644)には奉祀され、落雷避け、悪魔払い、長寿の守護神として信仰があると記す。 備陽六郡志には芦田郡常村の項に白髭大明神と記されるが金丸村には記載がない。 西備名区には常、金丸両村に記載されている。 備陽六郡志は1740年頃、西備名区は1804年の編纂である。 一間社流造の本殿は昭和28年に再建されている。 身舎柱は円柱を使い長押と頭貫で固定され、さらに台輪を巡らせている。 柱上は平三斗が置かれ中備は何も置かれない。 縋破風で向拝を造り、向拝柱は虹梁型頭貫で固定され木鼻は象鼻彫刻が施され、柱上は連三斗が桁を支え、垂木は手挟みが受ける。 屋根は桟瓦葺きであった。 |
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石鳥居 | |
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本殿 | |
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地図 |